経営情報

トップメッセージ

価格改定による適正利益の確保と新たな海外拠点の活用でグループの強化を図りさらなる企業価値の向上へ邁進してまいります。代表取締役社長 黒田雅史

第62期上半期のポイント

  • 業績はほぼ計画通りであったものの、前年同期比では増収減益となりました。
  • 「海外事業の拡大」を新たな経営テーマとして掲げ、10月中旬にM&Aを実施し、新たな海外拠点を取得しました。
  • 中間配当は1株当たり30円とし、前年同期に比べ5円の増配となりました。

第62期下半期のポイント

  • 上半期に引き続き、「利益確保」に向けて、契約・販売価格の改定などに取り組みます。
  • 上半期不振だった合成樹脂事業は、下半期にずれた需要の獲得で挽回を目指します。
  • 通期業績は計画通りに推移する見通しで、前期比で増収減益となる予想です。
  • 第62期(2024年3月期)上半期のご報告をお願いいたします。

    当期は前期に引き続き「安全」「安心」「スピード」「環境」そして「規模の拡大」「利益確保」「海外事業の拡大」を経営テーマとしております。なかでも「利益確保」については、原材料やエネルギー等はもとより様々な要因で経費を含む原価が上昇しており、適正な利益を確保していくには契約価格や販売価格の改定は喫緊の課題です。また、もう一つ注力しているのが「海外事業の拡大」で、上半期では新しい海外拠点を取得できました。9月末に、新潟県のマルイ工業株式会社の株式取得に係る株式譲渡契約を締結し、10月中旬に同社がグループ入りしました。同社はタイに製造・販売事業を展開する子会社があり、当社グループにおける海外事業の規模拡大に、今後大きく寄与していくものと期待しております。
    事業の概況につきましては、セグメント別でご報告いたします。自動車リース関連事業は、リースや自動車メンテナンス受託が堅調に推移し、燃料販売も販売価格設定の見直しを行い、安定した収益体制を整えたことで好調を持続しました。車両販売は、前期の予想を超えた販売単価上昇の反動により、数字的に伸び悩みましたが、通常ベースから見ると堅調と言えます。したがって、セグメント全体としては、ほぼ計画通りの結果となりました。
    ケミカル事業は、利益面でやや厳しい状況でした。度重なる原材料価格の上昇により値上げ交渉を進めていますが、大手取引先などは価格改定時期が決まっており、思うような成果が得られませんでした。その一方で、生産性の向上へ向けての取り組みは進展がありました。手狭で効率的な動線がとれず、かつ設備等の老朽化が進んでいる関東工場(茨城県古河市)に関し、2026年の稼働を目途に、広い敷地への移転(同市内)を決定いたしました。
    パーキング事業は、前期に引き続きコインパーキングが好調で、業績的にはコロナ前に戻りました。取り組みとしては、ユーザーへのサービス向上を図るため、QRコード対応やクレジットカード対応など、キャッシュレス決済に対応した設備への切り替えやロック板のないフラップレス化を進めています。
    機械工具販売事業については、卸売事業は仕入れ価格の上昇を販売価格に転嫁できており、安定成長を続ける空調関連も値上げを行い業績も順調です。取り組みについては、長年に亘り不採算であった梱包機販売等のパッケージ事業部を9月に廃止し、加えて品質向上・検査体制の強化で返品・クレームが減少しました。ESG関連の取り組みとしては脱炭素に結び付く製品開発を推進しており、空調関連ではフロンの回収・再生事業や再生フロン販売の事業化へ注力しています。
    合成樹脂事業は、主力の遊技機関連で期待していたスマートパチスロとスマートパチンコですが、パチンコの需要が伸びず、セグメント業績は計画を下回りました。一方、事業規模は小さいですが、再生樹脂ペレットの受注は順調で、半導体製造装置向けのセラミックヒーターも堅調でした。
    その他の事業では、ガラス加工事業が販売価格の改定を行ったことで大幅に業績を伸ばし、農業は夏が暑かったこともあり、トマトやピーマンの出荷が好調でした。
    以上の結果、第62期上半期の業績は、売上高63,525百万円(前年同期比2.8%増)、営業利益4,231百万円(同13.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益3,123百万円(同3.2%減)となりました。利益面で前年同期を下回る結果となりましたが、過去2期は燃料販売と車両販売の特需的な好業績があった点を考慮すると、各事業とも概ね順調に成長が図れたと思います。
    なお、中間配当はすでにお知らせしました通り、当初の予想から5円増配し、1株当たり30円(前中間期25円)とさせていただきました。当社グループは、株主様への還元を重要な経営政策と位置付けており、安定配当の基本方針のもと、日頃からのご支援に対する感謝の気持ちとして増配を決定いたしました。
    また、物価の上昇等、社会的状況を鑑み、ステークホルダーの大切な一員でもある従業員に対しては、大幅なベースアップを行っております。

  • 下半期および通期の見通しを事業環境も含めお聞かせください。

    自動車リース関連事業では、リースが安定して契約台数を伸ばすと見込んでいます。自動車メンテナンス受託は、引き続き価格交渉に注力しなければなりません。燃料販売は、来年の4月まで継続されるガソリンに対する政府の補助金の影響もあり、安定した収益が望めます。車両販売は販売価格が下がる予想ですが、需要は落ち込む気配がなく堅調さを維持できそうです。セグメントの業績としては、まずまずの結果が出せると考えております。
    ケミカル事業は、引き続き価格交渉が最も重要な取り組みとなります。市場環境は特段の懸念材料も見当たらず、業績は悪くない見通しです。主力製品の一つである燃料添加剤については、燃焼種類別の添加剤を開発し、新たな需要開拓に注力してまいります。パーキング事業は、引き続き好調を持続していくと思われます。機械工具販売事業は、値上げすべき部門での価格改定が一巡したところですが、仕入原価の上昇が続いているため、再度の交渉が必要です。セグメントの業績については、市場環境が安定しており、一時期減少したフォークリフト関連も復活の兆しがあり、計画通りの推移とみています。
    合成樹脂事業は、下半期にずれた遊技機関連の需要獲得が鍵となりますが、グループ会社になったマルイ工業株式会社も業績に寄与するので、挽回に期待しています。
    マルイ工業株式会社については、海外事業の進展に加え、既存の合成樹脂事業とのシナジー実現に向けた検討も進めています。他の事業とのシナジーに関しても、合成樹脂に関する高い技術力に加え、高い評価を得ている治具の製造などを活用すれば、幅広く連携できそうです。
    通期の業績は、計画通りに推移し、前期比で売上高=微増、営業利益=減少となる見通しですが、グループの成長としては順調に推移していると捉えております。
    利益確保が厳しい経営環境ではありますが、企業価値を高めるべく邁進してまいりますので、株主様におかれましては、さらなるご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。