経営情報
トップメッセージ
第63期上半期のポイント
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自動車リース関連事業と合成樹脂事業は堅調に推移しましたが、ケミカル事業は円安・原価上昇により苦戦を強いられました。
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第2四半期(中間期)の業績は、対前年同期比で増収増益を達成しました。
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中間配当は1株当たり33円と、3円の増配となりました。
第63期下半期のポイント
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自動車リース関連事業で原価上昇等、いくつかの懸念材料が予測されます。
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グループ全体として、原価上昇に伴う価格転嫁の対応が重点的な取り組みです。
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通期業績予想は、現在のところ当初の発表数値を据え置いています。
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第63期(2025年3月期)上半期につきましてご報告をお願いいたします。
当期は前期に引き続き「規模の拡大」「利益確保」「海外事業の拡大」を目指し、「安全」「安心」「環境」をベースに、「考える」「挑戦する」「人材の育成」「スピードアップ」をテーマにしております。
上半期の事業の概況につきましては、セグメント別にご報告いたします。自動車リース関連事業は、リースが着実に伸長し、自動車メンテナンス受託も堅調で、燃料販売・車両販売が利益面を牽引したこともあって業績を伸ばすことができました。
ケミカル事業は、円安傾向に加え、原材料・生産コストの上昇を踏まえての販売価格の値上げが影響し、売れ行きが思わしくなく、全体として低調でした。
パーキング事業は、コインパーキングを中心に伸長が図れました。新札対応や非接触型への転換など決済に関する設備の更新を進めており、経費増の要因となっていますが、上半期においてはその影響も少なく売上高に加え利益面も順調に伸ばしております。
機械工具販売事業は、海外で生産した製品原価の上昇等により苦戦を強いられました。前期に引き続いてTASCOブランドの空調工具は堅調に推移しましたが、セグメントとしては利益面が前年同期を下回りました。
合成樹脂事業は、スマートパチスロ・パチンコの需要がようやく動き出しこともあり、遊戯機メーカー向けが順調に推移しました。また、売上規模は小さいものの、計測機器が堅調だったのに加え、半導体実装装置メーカー向けのセラミックヒーターが当期も好調を持続しています。セグメント業績としては、前期にグループ会社となったマルイ工業株式会社も寄与し、増収増益となりました。
農業関連事業は、農作物の生産が夏の暑さの影響を最小限にとどめることができ、順調に推移しました。生産事業は依然として赤字ですが、不採算であった兵庫県の篠山農場を7月に閉鎖したことで、改善に向かっております。セグメントの業績に関しましては、前期にグループ会社となった肥料の製造販売会社である日東エフシー株式会社が寄与したことで、大幅に売上高・営業利益を伸ばしました。その他セグメントは、ガラス製品販売が関東地域における建築業界の好調さに支えられ、堅調に推移しました。
グループ全体としては、厳しい事業もありましたが、前年同期を上回る業績結果を残すことができ、売上高776億10百万円(対前年同期比22.2%増)、営業利益60億84百万円(対前年同期比43.8%増)、経常利益62億35百万円(対前年同期比37.3%増)、親会社株主に帰属する中間純利益38億39百万円(対前年同期比22.9%増)となりました。株主様への中間配当も9月に発表しました通り、前期実績を上回る1株当たり33円として3円の増配とさせていただきました。 -
成長戦略の観点から直近の計画も含め進捗状況をお聞かせください。
当社グループが掲げている成長戦略は、「既存事業の規模の拡大」「海外展開の強化」「積極的なM&Aの展開」で、目標としている長期経営数値は「売上高2,000億円超」「営業利益200億円超」としております。
◎既存事業の規模の拡大
安定成長を続ける自動車リース関連事業は、核となるリース事業において、地方の中小口規模の法人にリース化への余地があり、国内のリース台数の増加傾向を鑑みても、現状の地域密着型の営業でまだまだ拡大が図れると考えております。好調を持続しているパーキング事業は、競争激化の市場環境ですが、東京・大阪以外の大都市圏へのアプローチがこれからであり、拡大への期待が持てます。ケミカル事業は脱炭素社会へ向けたバイオマス添加剤等に代表される新製品開発がカギを握っています。合成樹脂事業では株式会社イチネン製作所とマルイ工業との共同開発による新製品の顧客提案を進めており、その一方で、事業領域の拡大として新たな業界の展示会へ出展し手応えをつかんでおります。農業関連事業は、新たな作物への取り組みと新たな農園の確保を進めています。
◎海外展開の強化
ニュージーランドでの中古車販売会社・ICHINEN AUTOS(N.Z.)LIMITEDは3店舗目を開設し、順調に販売台数を伸ばしており、4店舗目・5店舗目を模索中です。タイでは東南アジアを中心に空調工具の独自ブランド「TASCO BLACK」を拡販中で、商品ラインアップの拡充にも取り組んでいます。また、タイには新しいグループ会社のマルイ工業が拠点を有しており、他のグループ会社とのシナジーにより既存事業の海外展開に一役買ってくれるのではと期待しているところです。今後の展開としては拠点のある北米の強化に注力し、既存事業の拡大および新規事業の展開を推進してまいります。また、海外展開の強化を図る上で不可欠な人材の育成は、毎年、数名の若手社員を海外研修させており、ビジネス経験とともに、新しいビジネスモデルや新規事業を創り出す目を養ってもらいたいと思っております。
◎積極的なM&Aの展開
早急に実現したいと注力しているのが、「海外展開の強化」と結び付いた海外企業のM&Aです。当社グループは、長期目標の一つとして「海外売上高比率20%」を掲げており、その達成を加速させるには不可欠な要素と言えます。 -
下半期および通期の見通しをお聞かせください。
下半期に最も注力しなければならない取り組みは、原価上昇に伴う価格転嫁の対応です。値上げの実施は課題であり、適正利潤を確保していくには、厳しい交渉になりますが、やり遂げなければなりません。また、利益確保の手法としては販売数量の増加に伴う生産コストの低減もあり、営業的工夫を重ねながら、その点にも注力してまいります。事業の見通しは、原価のさらなる値上げ等、懸念材料があるなか、自動車リース関連事業やパーキング事業が堅調に推移し、ケミカル事業が引き続き苦戦を強いられると予想されます。機械工具販売事業は円安傾向の影響を受け利益確保が課題となり、合成樹脂事業は遊技機市場の動向に左右されそうです。農業関連事業は日東エフシーの収益が寄与し堅調に推移すると見込んでいます。通期業績予想は、当初の発表数値を据え置いております。
当社グループは、現在、社会課題の解決へ向けて取り組んでいますが、新製品開発や事業そのものもESGやSDGsの理念に適うだけでなく、あくまで本業を通じビジネスとして成立させていくことを前提にしております。
引き続き厳しい経営環境が予想される今日ですが、営業利益の22期連続増益を目標とし、株主様への還元は配当性向30%に近づけるべく、当期も事業の発展に邁進してまいります。
株主様におかれましては、さらなるご支援とご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。